明走会トレラン部のみなさま、応援ありがとうございました。

8月26日午後23時30分スタート

思い起こせば2009年ハセツネ参加の時に、みなさまと出会い、NHKの「激走 モンブラン」の鏑木さんを見てから、さらに刺激をうけUTMBをめざし抽選もクリア、憧れの舞台に立つことができました。UTMB(Chamonix−Chamonix)距離166km、累積標高9,500m、制限時間46時間

クールマイヨールの1つ手前のエイド
コルシェクルイ付近

映像で見るのは颯爽と駆け抜けるトレイルランの姿ですが、実際ほとんどのコースは速足でいかにいくかという道でした。30時間以内のトップランナーの姿は、一般ランナーにとってはオリンピック代表レベルの世界なので想像以上の凄さです。

蚊取り線香さん(小野忍さん)によれば、休まずに早く歩き続けることができれば完走できるという時間設定だということでしたが、実際それがいかに困難なことなのか・・・これは体験してみないとわかりません。

ハセツネや信越で経験したこととは全くちがうレースです。北、南アルプスなどの夏山縦走で悪天候に会う経験も必要かもしれません。だからトレイルランニングという言葉ではなく、やはり鏑木さんのいう山岳レースという概念ですね。厳しい天候や地形、コース、自分の体の痛みに対して楽しむことができる超Mの人がこのようなレースに挑戦するんだと我ながらおもいます。多くの人の支えで完走できた分、後に続くかたに少しでも役にたつ情報が伝えられたらとは思いますが、私自身のレースの状況ですが、ほとんど覚えていないというのが正直なところです。以下の報告でお許しください。

スタートから天候不順のため時間が5時間ずれて23時30分スタートに。寒さ対策で持って行った防寒用ウエアをすべて着込んでからのぞむことにした。一緒のツアーの仲間と固まって最後尾にちかいところからゆっくりスタート。スタートから雨模様だがコースもぬかるみぐちゃぐちゃ、明け方の素晴らしい景色の中、雪に変わり吹雪でさすような寒さ。いつまでつづくのかという登りと下りの繰り返しのなか、放牧された牛のカウベルの響きが眠気を誘う。エイドや街に入ると皆が「アレ!アレ!アレ!(行け、頑張れ)」と激励してくれる。
クールマイヨール

とにかくひたすら前に進むしかない、応援に来ている妻子には、中間地点のクールマイヨールで14,5時間後の午後2時ぐらいに会えるはずと思っていたが、もう自分ではどれぐらいかかるか判断できなくなっていた。結局16時過ぎに到着。

そのころ実は妻子は、シャンペにいく応援バスしか乗れなかったが、そのために幸いにもちょうどトップ選手であるキリアンや鏑木選手たちを応援できたとのこと。

まだ体力的にも余裕はあったが、大休憩所の雰囲気でついゆっくりしてしまい仮眠をとるわけでもなく1時間後に再出発。

アルヌーブの関門で前後している日本人と、ここから「フェレを超えるのが大変だ、さらにシャンペの関門は時間的に厳しいね・・」という情報を得る。意気込んで関門をでたものの長々と続く登りで前についていけなくなり孤立、うしろからパスされていく。2晩めをもうろうとした意識の中でまた長い登り、下り、暗闇のなかで景色、今いる場所もまったくわからず関門だけを目指して進む。
シャンぺ

フェレの関門をなんとかクリアし制限時間に追われながら必死に周りのスピードについていってシャンペへ向かう。シャンペではもう夜明け、午前6時に到着。制限時間の午前7時前にそこをスタート。もう余裕がない。

道路標識

このあとのコースについては、変更情報が逐次入るが、もともとコースの知識がないのでただただついていくだけである。自分の予測では関門ぎりぎりなんて考えてもみなかった。が、このころから両足裏の靴擦れの痛みがひどくなり、針の上を歩いているような痛さで自然と歩くスピードも落ちていく。歩くよりも走ることで痛さをまぎらして少しでも前に進む。

コースが変更になったという道がなんともユニーク。舗装路、家の前、あぜ道みたいなところを一気に直登。どこまでまっすぐ登らせるのかと、選手どおしで会話しているようだ。しかし、斜度35度ぐらいの斜面を延々1時間以上一気に800mぐらい標高を稼ぐこの道では、他の外国選手との登りの脚の筋力の違いに驚くばかり。軽々と登る斜度ではないのに、そこでスピードを落とさず息も切らさずにいくのだ。この脚の差には完全に力の差を感じた。そのかわり彼らは平たんな道と下りをあまり走らないしスピードをあげることをしない。こちらはロードとテクニカルなくだりは特に得意だ。
痛みをこらえながら下りで走り、最後の関門を15分前ぐらいでクリア。キケさん(亀卦川さん)の応援がとてもうれしい。きのっぴさん(木下さん)もすぐ後ろに来ているらしいとわかる。あと少し・・
もう18時を超えている。42時間・・油断しているわけではなく、急に眠気が襲ってきて頭がぼーとなり千鳥足になる。仮眠もせずに来た。正直仮眠をとる余裕がなかった。

ラ・プラへ下る分岐をシャモニー方面へ登りモンブラン山群を見ながら進む。応援の声であと10KMをきり、シャモニーの町が近づいてくるのがようやくわかった。応援の声がアレアレ!からブラボー!に変わってきた。ブラボー、アニマル!ともいわれる。

家族とゴールへ

舗装路にでて見覚えのある橋のところでいきなり妻子が待ち構えていた。そこからは沿道の声援に応えながら歓喜のゴールへ。

ゴール

長い旅が終わったあとに完走のブルーベストを着て街をあるく誇らしさはなんとも言えなかった。

44時間48分12秒 1051位

2011年度UTMB
参加者2369名
完走者1133名
完走率47.83%


高原 徹(文責)