今思うと夢のようなレースであった。あんな雪山、風雪の頂き、峠、良く越えたものだ。レースだから走れ、頑張った。 この苦しかったレースを振り返ってみよう。

ラ・フローリア(レース後、完走ベスト着用)

UTMB(ULTRA-TRAIL DU MONT-BLANC)は、モンブランを中心に、シャモニー(フランス)〜クールマイユール(イタリア)〜シャンペクス(スイス) 〜シャモニー(フランス)に戻る周回コース、距離167.7km、累積標高9,618m、制限時間46時間。同時期に開催されるCCCは、クールマイユール (イタリア)〜シャンペクス(スイス)〜シャモニー(フランス)、距離:99.5km、累積標高:5,998m、制限時間26時間、標高2000m前後の世界 最大のトレイルランニング競技、今年は10回目の記念大会であった。CCC開催時期:2012年8月31日(金)10:00~9月1日(土)12:00

正式なCCCのコース断面


山岳リゾート地として活況の街シャモニー、2度目の訪問である。2010年TMB(ツールド・モンブラン・トレッキング)で数日過ごした。 今回はUTMB-CCC参加のため、7泊8日滞在した。

パリ〜ジュネーブ経由でシャモニーに入ったのは8月28日(火)。半袖で過せる快適な気温。しかし、30日(木)から崩れるとの予報、 主催者からのSMSで、防寒対策、2,000mは雪、風があり寒い、気温-5度、冬装備、厳しい、4Layers等と悪い知らせばかり。2010年TMB も天気が悪く、CCCの最大の難所グランド・コル・フェレ(2,537m)は風雪、この経験からウェア、装備、コル前後の対応は心得ていたが、 不安は募る。

スタート地点(クールマイユール)

31日(金)10:00、クールマイユール、スタート地点(1,200m)、UTMBテーマ曲は気持ちを高揚させる。エントリー1,913人、約600人、 3班に分かれ、10分毎のウェーブ・スタート。AM10:20、雨、ゴアテックスの上着、手袋、ザックカバー等を着用、スタートする。


クールマイユールの街中

街は、にぎやかだ。楽団が応援、カウベルが鳴り響き、Allez!(行け!)と声援。街から離れると急な坂道になる。皆、ポールを使い 登りは早い。曽根さんのコメント「後半の足の疲れを前半から庇う為、ポールは使った方が良い。」早々、ポールを出す。

最初の山、トロンシュの頭の標高は2,584m、高度計2,000mを超えない。最初のエイド、ベルトーネ1,989m(4.89km地点、 01:22:18、11時42分、1,634位)に着く。ここで、日本人からコース変更を教えていただく。スタート直前に、SMSで2,000m雪、 前半のトロンシュの頭と最後のテートオーバン(2,130m)が無くなった。クールマイユールからアヌーバまではUTBMコースに 変更された。スタート20分前に携帯電話を切り知らなかった。自分が作ったタイムスケジュールが役に立たない、何を頼りに 走るか分からなくなった。集団に遅れず、前へ前へ、これしかない。

以下、通過時間、関門時間等はレース後、確認したもので、レース中はまったく分からない。

グランド・コル・フェレ(2010年8月31日)

アヌーバ1,769m(17.5km地点、03:48:22、14時08分、関門15時、1,462位)のエイドで、ヌードル、パン、サラミ等いただく。 身体を温め、エレナ小屋へ、登りは休まず歩き続ける。2,000mを超えると雪、トレイルはシャーベット状、グランド・ コル・フェレ2,537m(21.95km、05:32:21、15時52分、1,742位)は、風雪、2010年とまったく同じ状態。


下山コースは分かるので、コルからは軽快に高度を下げ、雪が霙、雨に、ラ・プューレ小屋を通過、ラフーリ1,598m(31.59km、 07:08:47、17時28分、関門18時45分、1,603位)まで1,000m下る。シャンペクス(1,477m)までの林道の登りは結構長く感じた。 途中暗くなり、ヘッドライトを取りだす。

シャンペクスのエイド(45.66km、10:31:22、20時33分、関門22時15分、1,626位)で27分休む。ミート・スパゲッティ、 ヌードル、パン、サラミソーセージ等をいただく。ここで濡れた防寒用手袋から防水用に交換する。雨は降り続く、 21時スタート、集団から離れないように後ろに着く。最後から3番目のボビーヌ1,987mを目指す。標高が上がるにつれて雪道、 延々と続く。前後、人も少なくコースアウトしないよう、踏み跡やテープを確認する。


ボビーヌ小屋が近づくにつれて放し飼いの牛のカウベルの音が聞こえる。エイドは家畜小屋(55.35km、13:32:22、23時52分、 1,508位)。暖かいヌードルを頂き、トリエントに下るが、右足膝を痛め、ポールで庇いながら、大幅ペースダウン。滑りや すい雪道や泥だらけの下山道を工夫して歩き続ける。 トリエント1,300m(61.72km、15:32:29、1時52分、関門3時、1,468位)21分休み出発。暗い中、川沿いを左に、前方に誰も 見えない。後ろを向くと川の右側にライトが見え、道間違いと分かる。 最後から2つ目のコターニュ(2,027m)までの登りは雪の中、歩幅は小さくなるが休まず歩き続ける。抜かれるが気にせず前へ、 前へ。。。やがて尾根に出て、歩き続けると遠くに焚火が見える。コターニュのエイド(67.06km、18:05:13、4時25分、 1,483位)は仮設テントの中、コーラをいただく。暖かそうな焚火、立ち寄らず進む。下りになると相変わらず膝が痛むが だまし、だまし歩く。明るくなりヴァロシン1,260m(72.17km、20:02:49、6時22分、関門6時45分、1,524位)に着く。 トリエントからコターニュ超えヴァロシンまで4時間30分、随分時間がかかった。ここで日本人スタッフから、最後の山、 テートオーバン(2,130m)が無くなったこと、次の8km先(なだらかな上り4km、下り4km)のアージャティエール関門が8時 と教えていただく。時間が無い、10分休んで出発、山が無くなったのは嬉しいが、8km、1時間15分、1km7分30分、速歩で ぐんぐん抜いて行く。下り走るか?その走力は残っているか?悩む。しかし、外国人はゆっくり歩いている。訳が分から ない。走ってきた日本人に関門はと聞く。「バリヤは無くなったようですが、制限時間が分からない?」。林道を歩いて いると前面のわき道からランナーが走っていく。道を間違ったのか?実はUTMBの選手。コース変更でフランス側だけで 103kmのコースを作り、後半からCCCと同じコースを走っている。CCCの選手に比べたら元気がある。

田舎町を通り抜けるとアージャティエール関門(78.39km、21:29:24、7時49分、関門8時30分、1,465位)。結局、 ヴァロシン〜アージャティエールは6.2km、関門は8時30分に延びていた。エイドは、UTMBとCCCの選手で混雑している。 最後のエイド、バナナ、オレンジ等いただき出発する。 アージャティエールからシャモニーの谷を南下するハイキング道、制限時間やゴールまでの距離が分からない。 とにかく前へ。アップダウンのある林道や広い公園を抜けるとエギュイ・デュ・ミディのロープウェイが見え、 やっとシャモニー。アルヴ川の散歩道から走る。メイン通りジョセフ・ヴァロ、多くの応援、元気がでる。 パルムとソシュールの像近くに妻がいて写真を撮ってくれた。日本人から日の丸を貸していただき、 背負い、多くの歓声を受け、ゴールした。



<結果>

23:44:48(距離86km、累積標高4,597m)、AM10:04着、1,478位、制限時間はコースが変わっても26時間だった。 エントリー1,913人、完走者1,585人、リタイヤ328人、完走率83% 60~69歳男子24位(エントリー38人、完走者27人)

<CCCの年齢別エントリー>

23〜49歳で82%である。

20〜23歳23人(女性4人、男性19名)、23〜39歳863人(女性95人、男性768人)、40〜49歳:705人(女性114人、 男性591人)、50〜59歳271人(女性35人、男性236人)、60〜69歳45人(女性7人、男性38人)、70〜79歳6人(男性6人)

<レースのポイント>

・3ヶ国仕様の携帯電話を持参、主催者からのSMSはレース前、中に確認すること。もし出来ない場合は、シャモニーやレース中、 日本人と積極的にコミニュケーションを取る。

・重量は、水1リッター入れて3kg程度、食料は、エイドで補食すること。

・天気が崩れると2,000m以上は雪になるので、防寒、防水対策は重要、特に、ゴアテックスの上下、手袋(予備)は必要。

・レース中は集団から離れず、なるべく数人のランナーと行動すること。

<最後に>

天候不順の中、レースを開催した主催者や大会運営スタッフ、共に苦労した仲間、地元のボランティアや私設エイドの皆様にはお 世話になり感謝します。そして、曽根さん、木下さん、キケさんには様々な情報やアドバイス、助かりました。MTRCの皆さんから のレース中のメール応援有り難うございました。紙面を借りてお礼申し上げます。

MTRCの皆さん、TMBを歩くのも、UTMB、TDS、CCCにチャレンジするのも良いと思います。モンブラン山群を中心とした山岳リゾート地、シャモニーを是非、訪れてください。

以上

東山一勇気(文責)